今回は2019年12月に新規上場をした株式会社マクアケに関して見ていきたいと思います。
株式会社マクアケは、サイバーエージェント(4751東証一部)の連結子会社となっています。
株式会社マクアケ(4479)の事業全体像
株式会社マクアケは、「生まれるべきものが生まれ、広がるべきものが広がり、残るべきものが残る世界の実現」というビジョンで「Makuake」というクラウドファンディングプラットフォームを主に展開している企業です。
サイバーエージェントの子会社で他の株主には、元日本代表MF本田圭佑氏の個人ファンド「KSK Angel Fund」や歌舞伎俳優、市川海老蔵氏なども保有をしていることで一時話題になりました。
マクアケは主に2つの事業があります。
Makuake
マクアケの主軸のサービス「Makuake」。購買型クラウドファンディングのプラットフォームを運営してます。
クラウドファンディングとは…
群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語から来ているのですが
インターネットを利用して想いに共感した人や活動を応援したいと思ってくれる人から資金を調達する仕組みです。
資金調達と言えば、銀行など金融機関から出資が一般的でしたが、このクラウドファンディングは一般の方から応援する(購入)という形で資金調達できる新しい形です。
クラウドファンディング市場は、新製品販売におけるEコマース市場、新サービスにおける予約販売市場など複数の市場の動向に影響を受けているというのも特徴です。
「Makuake」にプロジェクト実行者が予め設定した支援額に応じたリターンを目的としてプロジェクト支援者が支援を行う仕組みとなってます。新製品・新サービスにかかる予約購入サービスの側面を有しています。Makuakeは、プロジェクトが成立した場合に、プロジェクト実行者から一定のプラットフォーム利用料を受領します。Makuakeはこのプロジェクトの売上金から20%の手数料を受け取ってます。
単純に資金調達をするだけでなく、マーケティングの側面も持っているような仕組みです。新商品を立ち上げたが、資金が集められないようであれば売れる見込みがない可能性が高いと考えることができます。クラウドファンディングは支援者を募り、ある意味ファンを集めると似ています。プロジェクト実行者の想いに賛同するかどうかも大きくかかわってきます。ファンはSNSなどで情報を拡散してくれるので、資金調達や知名度アップに有効です。
例えば、小ロット製品のテストマーケティングや、飲食店の出店プロジェクトなど様々です。コロナ禍では「冷たいマスク」などが一時期資金調達し成功していました。
Makuakeは「0次流通市場」と言い、市場に出る前のテスト販売できる市場のプラットフォームと位置付けています。
Makuake Incubation Studio
Makuake Incubation Studioは、企業の研究開発テーマや成果の中に有用な技術であるにも拘らず事業化に至っていない案件が数多く存在しているという考えから、、「Makuake」サービスの運営を通じて蓄積した顧客ニーズのデータや
ノウハウ等を活用し、企業の有用な技術を活用した新しい発想の製品開発をサポートするサービスです。認知拡大・販路などのサービス提供もしています。広告配信などは親会社がサイバーエージェントであるためノウハウ等はあるでしょう。
業績について
2020年9月第3四半期業績を参考に見ていきます。
応援総額の推移ですが、前年より3.4倍の伸びがあります。新型コロナウィルスによりオンライン化が進みベースアップしているようです。
掲載の数も大きく伸びています。こちらもオンラインシフトが大きく影響していると考えられます。
利用するユーザーも増え趣味嗜好に応援として消費をするスタイルが急増してます。
会員数も100万人に到達。順調に伸ばしています。
営業利益はなんと9倍に。応援購入規模が増加している為です。
第3四半期だけ単体でみると営業利益が約10倍に。
掲載開始含めすべての項目が全体的に伸びています。
さらに通期業績予想をしました。新型コロナウィルスを追い風として大きく伸びています。
<株価>
一時4,000円台だった株価は、現在約3倍までの伸びに。ゴールディンウィークあたりから爆上がりをしています。
3C分析
今回は3C分析でマクアケ社を見ていきたいと思います。
Customer(市場・顧客)
クラウドファンディング市場は、まだまた新しい市場です。その為成長過程であり今後もさらに伸びていくでしょう。
野村総研研究所作成「ITナビゲーター2019年版」 によると、B2C Eコマース市場も拡大傾向であり、2019年度においては前年比+6%の20.5兆円規模、2020年に21.7兆円、2021年に23兆円と今後も市場拡大していく予想されています。またコロナ禍で資金調達を試みる企業・個人が増えているためこれ機に認知拡大と市場の成長がより進むと考えられます。
Competitor(競合)
クラウドファンディングの業界の中ではマクアケは大手の分類に入るでしょう。
競合としては、「CAMPFIRE」「READYFOR」になってきます。
「CAMPFIRE」は購入型国内クラウドファンディング年間支援プロジェクト成立件数No.1としての実績があり手数料12%+決済手数料5%(=17%)とマクアケより少し低いです。
「Readyfor」は日本初・国内最大級のクラウドファンディングサイトで調達側の手数料は、シンプルプラン手数料7%+決済手数料5%(=12%)、フルサポートプランはサポート手数料12%+決済手数料5%(=17%)とこちらもマクアケよりも低いです。
大きなサービス内容は変わらないのでユーザーとしては手数料で選ぶか、クラウドファンディングのサイトの知名度や流入数などで比較していくでしょう。手数料では巻けますが、サイトへの流入数はマクアケに軍配が上がると思います。
Company(自社)
強みの部分は、独自の市場分析ツールやメディア掲載数5,000件以上の実績が強みと言えるでしょう。最近はプロジェクト実施中に伊勢丹新宿店の6店舗の常設スペースに商品を展示可能だったりするので販促力があると思います。
クラウドファンディングサイトへの流入数も競合に比べて強く広告運用やSEO対策の強みがうかがえます。知ってもらうことがプロジェクトには必要なので目に触れる機会をマクアケは上手くできているかと個人的には思います。
まとめ
今以上に 新製品・新サービスのマーケットデビュー市場「0次流通市場」を創出と魅力あるプロジェクトの継続的な発掘、ユーザーの満足度の向上を図り、より成長を遂げるため「Makuake」のさらなる認知度向上とブランド力の強化が課題になってくるのではないでしょうか?
誰でも資金調達ができ誰でも挑戦できる環境が当たり前になっている時代ですので、今後注目したい企業です。
※ 参考:2020年9月期 第3四半期決算説明資料
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