今回は創業1956年と約60年以上続く化学工業メーカーである株式会社田中化学研究所(4080)の企業分析を簡単にしていきたいと思います。
株式会社田中化学研究所(4080)の事業全体像
田中化学研究所は住友化学の被所有の連結子会で、化学工業メーカーとしてリチウムイオン二次電池の正極材料を中心に、主に二次電池の正極材料を研究・開発・生産を行っています。リチウムイオン電池は正極材、負極材、電解液、セパレーター(絶縁材)などの基幹部材でできてていて、日本企業での生産が多く世界中でも高シェアを握っている部材が多いです。田中化学研究所はその1つの企業です。
電池の心臓部を担い性能を大きく左右する正極材メーカーなのです。
リチウムイオン電池とは、大容量の電力を蓄えることができ、 正極と負極を持ちその間をリチウムイオンが移動します。 携帯電話など身近なものにも リチウムイオン電池が使用されています。その材料となる部分を田中化学研究所社は製造しています。
田中化学研究所の主製品は以下です。
リチウムイオン電池やニッケル水素電池の材料となるニッケル系正極材料や水酸化ニッケルの量産化をしています。この製造、量産化には特殊な技術が必要で田中化学研究所社は粒子形状制御技術という粒子の作製を制御することにより、形状をコントロールする技術が得意で量産化に成功をしています。
技術開発も今後レベルアップしていくことを想定し動いています。最近話題になっている全固体電池にも参入しカスタマイズをしていく方向のようです。
今後業界内のポジショニングを確固たる地位にするのが目標で国内だけではなくよりグロバルに拡販を計画しています。電気自動車もこの二次電池が原動力となってきてます。その為次に市場として大きくなる電気自動車でシェアをどのくらい奪えるかが重要になってきています。
業績について
今回は田中化学研究所社の2021年3月期第3四半期決算から見ていきます。
売り上げ推移は19年に大きく伸ばしています。20年はやや減少傾向。コロナ禍が影響していると考えられます。
売り上げの構成比をみてみるとハイテク電池の割合が多くリチウムイオン電池用が約8割以上を占めています。
19年の売り上げの伸びはリチウムイオン電池が大きく上昇しています。リチウムイオン電池向け製品は売上堅調。車載用途として主要顧客への販売が回復しているようです。ニッケル水素電池向け製品はやや横ばいです。
今後は車載のリチウムイオン電池の販売を増えることが予想されています。国内でも電気自動車が注目されていて、グローバルの方が先に進んでいます。増減率90%以上をの数量販売増加を計画しています。工場への投資を積極的に行っています。
<株価>
田中化学研究所社の株価はコロナ禍まではやや右肩下がりでしたが、最近は上昇傾向にあるようです。電気自動車や全固体電池関連銘柄としても注目を集めているので個人投資家から人気があるようです。
3C分析
今回は田中化学研究所社を3C分析で見ていきたいと思います。
Customer(市場・顧客)
今後のリチウムイオン二次電池市場は大きく伸びると考えられていて2030には約13兆円と約4倍以上の市場成長が予測されています。
世界的に見ると市場はさらに大きく成長することは間違いないでしょう。2019年にはリチウムイオン電池の開発に貢献した吉野彰さんら3名がノーベル化学賞したことで市場としてはとても大きく話題となりました。
Competitor(競合)
競合にあたるのは同じくリチウムイオン電池正極材料を製造している戸田工業株式会社や リチウムイオン電池セパレーターを提供しているニッポン高度紙工業株式会社、ダブルスコープ株式会社などになります。リチウムイオン電池正極材料に強い銘柄は、戸田工業株式会社と田中化学研究所社の2強となってます。
Company(自社)
田中化学研究所社の強みは技術でしょう。粒子形状制御技術という技術以外にも5つほど得意とする技術があり田中化学研究所社を支えています。積極的に大型投資を行っている点も特徴的で親会社が住友化学だからというのもあるでしょう。安定して投資を行えるようです。
まとめ
リチウムイオン電池は今後も注目されています。ただリチウムイオン電池よりもリスクが少ない全固体電池やEVへの車載向け製品など取り組むうえでの課題はあると思います。また田中化学研究所社だけではなく国内化学メーカーは中国とシェア争いをしています。中国が世界中のシェア60%前後を占めています。今後動向が期待されます。