ROEとは何かご存知でしょうか?なんとなく聞いたことはあるけど、イマイチよくわからないという方も多いと思います。
今回は、ROEの意味や使い方について解説したいと思います。
ROEって何?
ROE(Return on Equity)とは、日本語で「自己資本利益率」といいます。
自己資本(Equity)に対して、どれだけ利益(Return)を出しているかを表す指標になります。
自己資本というのは、企業の調達資金(バランスシートの右側)のうち、返済義務のない資金(負債でないもの)のことで、株主から集めた資金や、これまで利益として蓄積していたもの等のことです。
つまり、ROEとは「自己資本を使ってどれだけ効率よく利益を出せたのか」を知るために必要な指標であると言えます。
ROEの計算式について
ROEは、以下の計算式から導かれます。
ROE(%) =当期純利益÷自己資本×100
当期純利益とは、ある年度の収益から仕入れや販管費、人件費等の会社のコストを全て差し引いた後に残る利益です。
また、自己資本とは、バランスシートの純資産の部のうち、「株主資本」や「包括利益累計額」を足し合わせたものになります。
それらを計算することでROEが算出できます。
R0Eの目安は?
ROEは基本的には高いほど良いです(もちろん、注意点があるので後述しますが)。しかし、国や産業によって、水準は異なってくるので、様々な視点から比較していきましょう。
国ごとの水準を比較する
ROEの平均は国によって大きく違います。経産省の資料では日米欧のROEより推移がわかりますが、アメリカのROEと6〜8ポイント程度の差がある事がわかります。
これをざっくり見ると、全体として日本の会社の儲ける力はアメリカの会社に大きく劣ることがわかります。もちろん、これはマクロの話なので個別投資をする場合はこの限りではありません。
業種ごとのROEを比較する
業種ごとでもROEの水準は変わってきます。こちらの経産省の資料ですが、2018年で最もROEが高いのは、「情報通信業」の10.2%となっています。情報通信業は、IT企業が該当する業種です。大きな資本がなく利益率が高い事業ですので、ROEが高く出るビジネスです。
ROEを見る上での注意点
ROEが基本的に高いほうが望ましい指標ですが、高ければ良いというわけでもありません。
どのようにROEを使っていくべきか、注意点について解説します。
負債が多いとROEが高くなってしまう
金融機関等からの借り入れが多い企業等は、ROEが高くなる可能性があります。借入は総資本の一部なので、借入を行うと自己資本比率は減少します。借入が多い企業は貸し倒れリスクも高いです。
ROEを見るときは企業の自己資本比率も考慮に入れる必要があるということです。自己資本比率が高く、ROEが高い企業が理想的です。
単年度ごとの変動が大きい
全ての指標に言えることですが、単年度のROEだけを見てはいけません。その年にたまたま特別利益が出た場合は、その年だけのROEは特別高くなってしまいます。
過去数年分のROEを見て、その会社の事業、ビジネスモデルが本質的に高い利益率を出していることを見抜くことが必要になります。
ROEが高いが、株価も高くなっている
ROEが高い企業は、既に市場に評価されて株価も高騰している可能性が高いです。
如何にROEが高いと言っても、株価が高すぎれば下落リスクもあり高値づかみになってしまいます。
株の儲けは買値で決まりますので、ROEが高く株価もそこそこ安い銘柄を狙っていきましょう。
まとめ
ROEは、企業分析をする上で重要な指標である一方で、注意するべきポイントもあり万能な指標ではありません。様々な指標を見比べながら、投資すべき企業を選定していきましょう。