2021年10月4日、岸田文雄氏が第100代目の内閣総理大臣に就任することになりました。
新しい総理が誕生する時は、「ご祝儀買い」と呼ばれる動きがあるので、概ね株価は上がるものなのですが、このところ株価が冴えません。
それは、金融所得課税を検討していることが一因とされています。具体的にどういうことなのか見ていきましょう。
なぜ金融所得課税を検討するのか
導入の背景として、格差の問題があります。総理は、『成長と分配』を掲げており、格差を縮小しようと分配の動きを強めようとしています。
そうすると、金融所得の割合が高い富裕層から税金を取ることが必要であり、金融所得課税を検討するべきだという流れになったのだと思われます。
給与所得課税と金融所得課税の違い
では、給与所得と金融所得の課税方式の違いを見てみましょう。
給与取得課税とは、働いて得た収入に対する課税のことです。所得が上がるほど負担率は累進的に上がっていきます。
一方、金融所得課税は、株式譲渡益や配当金にかかる課税なのですが、こちらは給与所得とは異なり、一律20%の課税となっています。
下の図を見ると、所得が1億を超えたあたりから、負担率が下がっており、富裕層の税金負担が軽くなってしまっていることがわかります。
以上のような課題意識から、総理は検討を決めたものと思われます。
実現するとどのような影響が出るのか
これは一見、富裕層だけが損をするように思えますが、そうではありません。例えば金融所得課税が30%になるとすると、我々個人投資家も税金が増えるということなので、資産を増やしづらくなります。
一定程度の資産規模以上を課税条件とするというような特例がない限りは、投資を行っている個人投資家全体にも悪影響が出てしまう懸念があるのです。
そのような懸念もあり、株価は就任決定以降から軟調状態となっています。
まとめ
ぱっと見ると、金持ちだけが損をするような施策に思えますが、我々個人投資家も少なからず、被害を被る課税策となります。
個々人がどうすることもできないので見守るほかありませんが、実現してしまうと大きな富を持っていない個人投資家が、資産を増やす可能性を減らされてしまうことに繋がりますから、岸田総理には再考し直していただきたいなあと思っています。