今回は高齢者向けの配食サービスを展開しているシルバーライフの企業分析をしていきたいと思います。
企業概要
同社は、高齢者向けの配色サービスのフランチャイズチェーン(FC)を運営する企業です。高齢者人口が今後増えると見込まれていること、介護保険の介護報酬削減の流れから自前で給食を提供できなくなった高齢者施設からの需要増加などから成長を続けている企業です。
創業は2007年、上場は2017年となっています。創業者は清水 貴久氏であり現在も16.8%の大株主であり現在も代表取締役社長を務めています。
創業者の清水氏のキャリアも特徴的で、警視庁、経営コンサルティング会社を経て起業しています。彼のインタビューも経歴の異色さもそうですが、大変面白い内容になっていますのでお勧めです。
事業概要
同社は、食材の開発から製造、高齢利用者の自宅への配達を行うフランチャイズ店の運営までを全て一気通貫で行なっていることが特徴です。
ビジネスモデルは以下の通りです。自社で弁当を作り、直接販売やFC加盟店を通じて販売しています。FC加盟店に対しては経営指導を行い、そこからロイヤリティ収入も得ています。また、弁当だけでなく食材の販売も行なっていることがわかります。
2022年7月期の決算を見てみます。売上の多くを占めているのがFC加盟店経由での売上19億円となっており、高齢者施設等が3億円、直販・その他が4億円となっています。成長度合いでみると、最も規模の大きいFC加盟店セクションが前年同期比12.7%増加と最も成長を続けています。
財務状況
貸借対照表
BSを見ると、純資産が堅調に積み上がっていることがわかります。キャッシュも十分にありますね。2021年にはバランスシートの規模が大きくなっていますが、これは事業資産のうちの有形固定資産の伸びが主要因に読み取れます(21億円→44億円)。それと同時に有利子負債も倍以上に伸びていますから、借金をして何か大きな有形固定資産を取得したことが読み取れます。
答えを言ってしまうと、固定資産が大きく増えた要因は、栃木工場が原因です。
損益計算書
損益計算書を見ると、売上高は綺麗な右肩上がりです。ただ、営業利益と純利益を見ると2021年に前年同期比でマイナスとなっています。
減少の要因については、決算資料を見ると以下のように書かれていました。最も大きな要因は「運賃」とのことです。冷凍商品の売上が伸びたことにより、冷凍配送費と業務委託費の両方が増えたことで利益の減少に繋がっています。
ただし、今後は、置き配や栃木工場などでの内製化により、運賃の上昇を抑えるとのことで、利益の減少については一過性のものであることから、成長性の心配はないように思います。
キャッシュフロー計算書
2021年のCFを見ると、投資CFが大きくプラス、投資CFとFCFが大きくマイナスとなっています。これは前述のように栃木工場などの大型設備投資によるものです。
今後の成長につながる投資であるので、全く問題はないと思われます。
市況
株価を見て見ると、直近1年間では右肩下がりとなっています。時価総額は140億円と比較的小粒な企業規模となっています。
ROEは34倍と、東証一部平均の15倍と比較すると高いことから、成長をある程度見込まれていることがわかります。これから高齢化社会がさらに進行してしまう日本社会において、今後規模が大きくなる市場に入り込めていることが理由であると思われます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。高齢者向けの配食サービスという、一見ニッチな市場に見えますが高齢者は今後確実に増加することから、ニーズは必ず高まります。
その中で、内製化によるコスト競争力やFC店舗数ナンバーワンというネットワーク的な強みを持っていることから、更なる成長が見込まれる企業だと思います。中期経営計画を見ると、2025年には168億円を計画しており成長力は抜群です。
時価総額も140億円程度とまだまだ小ぶりですし、日本では珍しい成長市場ですので投資妙味のある企業だと思います。高齢化マーケットに関心がある方はぜひ投資してはいかがでしょうか?