ロシアの政情不安や猛暑による電力逼迫など、日本の電力インフラは翻弄されていますが、このような状況の中でも、東京電力をはじめとした電力株は上昇を続けています。
燃料費が上がっているにも関わらず、なぜ株価が上がるのかを分析していきます。
株価上昇を続ける東京電力
株価は絶好調
今年に入ってから総じて株式市場は軟調となっていますが、その一方で電力株は上昇を続けています。なんと過去一年でほぼ2倍の株価になっています。
特に東京電力をはじめとした電力株は株価が急上昇しています。
業績は?
一方で業績を見ると2021年度は、電力自由化による販売電力量の減少により前年度比76.3%減の449億円となっております。
東京電力のエリアである首都圏はさまざまな電力会社がしのぎを削る激戦区なので、東電は苦戦が続いているようですね。
それだけではなく、柏崎刈羽原発の再稼働もままならない状況になっており業績だけを見ると、株価が上がる企業には見えません。
原子力の再稼働が望まれている
企業としては非常に厳しい状況ながら、なぜ株価は上がっているのでしょうか。ズバリいうと原子力の再稼働が期待されているからです。
原子力発電が望まれている要因について解説していきます。
猛暑による電力逼迫
2022年は6月の時点で記録的な猛暑日が続いており、エアコンなどの電力需要が旺盛です。
元々、東京電力は新潟にある柏崎刈羽原発や福島にある原発で首都圏への電力供給を続けていましたが、福島原発は廃炉(当然ですが)で、柏崎刈羽原発は不祥事が相次ぎ、再稼働の時期が未定になっています。
柏崎刈羽原発は合計出力が821万kWという、世界最大の原子力発電所です。
電力逼迫によって、この原発が動くと東電にとって収支改善効果は非常に大きいとされており、再稼働の思惑が株価を上げています。
サハリン2事件による燃料調達問題
電力逼迫というのは電力需要(=使い側)の問題ですが、こちらは電力の燃料(=作る側)の問題です。
プーチン大統領は石油・天然ガス開発事業である「サハリン2」を接収する方針を発表しました。サハリン2は、三菱商事や三井物産などが出資する天然ガス事業であり、日本の多くの企業がここから天然ガスを輸入しています。
この事業がロシアに接収されるとなると、従来天然ガスを利用していた電力会社やガス会社は、他の場所から天然ガスを調達せねばならず、原料費の増加は免れないでしょう。
そうなると、更に日本国内では原子力発電の再稼働が叫ばれるという流れになっています。
まとめ
以上のように、猛暑による電力不足、ロシアによる燃料調達の危機などさまざまな要因により、まさに「電力危機」と言うべき状況が続いています。
夏場にエアコンを使わないことは熱中症に繋がりますし命にかかわりかねない状況です。
そのような中、国が主導して再稼働させるとすると電力会社の株価は急騰するでしょうし、株式市場はそれを期待していることがわかりました。
原子力の是非については人によって異なるとは思いますが、資源が乏しい日本においてはある程度は必要な電源だと考えています。
毎年、電気が来るかヒヤヒヤするのは勘弁なので早く余裕のある電力状況になってほしいですね。