電気自動車(EV)充電器市場について
世界的な脱炭素社会に向けた取り組みと相まって、自動車業界では世界的にガソリン車から電気自動車(EV)シフトの動きが加速しています。
EVの普及に向け重要な要素を占めるのが充電インフラの拡充です。いくら車両価格が安くなったとしても不便なく充電できる環境が整備されていなければ本格的な電気自動車シフトは難しいからです。
EV本体については、消費者のニーズを捉えた商品を民間の自動車メーカーが切磋琢磨して開発を進めていくことになりますが、全国的なEV充電インフラを整備するにあたっては、導入補助金を出す政府の役割が重要です。
そうしたなか、経済産業省はEV普及に向けて2030年までの充電設備の設置目標を従来目標の2倍にあたる30万口に引き上げる構えで、28日にその指針を有識者会議に提示したことが報じられています。
補助は高速道路のサービスエリアや道の駅、商業施設などの公共スペースを対象としており、現在の設置数は約3万基であるため、単純計算で向こう7年以内に10倍に増やす計画となります。他にもマンションへの基礎充電設備の設置推進も行っていく考えであり、徐々に日本においてもEV導入ハードルは下がっていくモノと思われます。
株式市場でも国策の追い風を背に、EVの充電インフラの一翼を担う企業群に物色の矛先が向きやすい状況となっています。今回は、このトレンドに乗って事業を拡大している企業を紹介していきます。
EV充電関連銘柄 本命5選!
EV充電関連銘柄の本命だと思われる企業を5社、ご紹介していきたいと思います。
各社の企業分析
まずは各社の重要指標をざっくり分析します。
企業名 | 上場市場 | 時価総額 | PER | PBR | 配当利回り |
エネチェンジ | 東証G | 404億円 | -倍 | 17.86倍 | -% |
平河ヒューテック | 東証P | 264億円 | 10.0倍 | 0.59倍 | 2.41% |
東光高岳 | 東証P | 365億円 | 10.6倍 | 0.67倍 | 2.23% |
ダイヘン | 東証P | 1,409億円 | 9.5倍 | 1.11倍 | 3.17% |
ニチコン | 東証P | 1,088億円 | 11.6倍 | 0.91倍 | 2.29% |
PBRが17倍と非常に割高になっているエネチェンジ以外は、割安で放置されており配当もあることから非常にお買い得となっています。それでは各社見てみましょう。
エネチェンジ株式会社(4169)
企業概要
電力・ガス切り替えプラットフォーム運営や電力・ガス会社用クラウド型DX支援サービスの提供をしており、どちらかというとIT企業に近い会社ですが、最近ではEV充電インフラ事業を第三の主力事業とするべく、全国各地で大胆な投資を進めています。
現時点では、投資先行のため赤字となっていることからPERの数値は出ていませんが、PBRが14倍と非常に割高な株価となっており、市場からの成長期待が高い企業と言えます。
以下は、2023年12月期 第2四半期決算説明資料を抜粋ですが、投資専攻で大幅な赤字となっているものの、下半期の黒字が計画されています。
株価チャート
直近一年では株価は横ばいを続けていますが、EV充電事業が軌道に乗れば大きな株価上昇が見込めると思います。ただし後述する企業も投資を続けているので、競争環境を踏まえた投資をお奨めします。
平河ヒューテック株式会社(5821)
企業概要
電線やネットワーク機器、光中継システムに関するメーカーであり、それらの技術を活用したEV充電器の開発をしています。
具体的には6kWの普通充電器の製造を行っています。EV充電には、普通充電器と急速充電器が存在しますが、普通充電器とは自宅やオフィスなどでゆっくり充電するもので、急速充電器とは、高速道路のサービスエリアなどで急いで充電する時に使います。
HCCIDシリーズ AC普通充電器 | 放送/ネットワーク機器 | 平河ヒューテック (hewtech.co.jp)
株価チャート
車載用ケーブルの海外展開等により、2023年に入ってから株価は一気に高くなりました。EV充電器の販売が伸びれば更なる株価上昇も見込めます。配当も2.4%ありますので、長い目で保有することもできる銘柄となっています。
株式会社東光高岳(6617)
企業概要
東京電力のグループ会社である東電パワーグリッドが34.8%の大株主であり、送配電機器が主力となっています。2014年、高岳と東光電が統合しており、電気の消費量を遠隔で把握できるスマートメーターの開発も行っています。
EV充電器については、同社の事業ポートフォリオにおいては、GXソリューション事業という領域に位置されており、エネルギーマネジメントシステムの開発、急速充電器の展開をしています。
充電器の製造については、以前はウクライナ機器による資材調達に難航していましたが、調達環境が改善したことにより売上は上向いています。
急速充電器(B9シリーズ)50kW/30kW|EV用充電インフラ|製品・サービス|株式会社 東光高岳 TAKAOKA TOKO CO., LTD. (tktk.co.jp)
株価チャート
株価を見ると、過去1年では14%ほど上昇をしておりますが、直近半年は横ばいを続けています。今後、EV充電インフラ補助金の増額が予想されていることから、更なる株価上昇が見込めます。
株式会社ダイヘン(6622)
企業概要
同社は世界有数のコンデンサーメーカーです。コンデンサーとは電圧を調整する機器であり電力供給に必須の設備となっています
事業領域としては、電力機器・溶接メカトロ・半導体関連機器の3つを主力事業としており、それぞれグローバル展開をしています。最近ではEVや蓄電システムなどへの投資を拡大させています。
EV充電器に関しては、普通充電器と急速充電器の販売をしていますが、いずれも今後必ず拡大する製品となっていますので今後の伸びが期待されます。
EV充電システム | 株式会社ダイヘン (daihen.co.jp)
株価チャート
過去一年のチャートを見ると右肩上がりの株価となっています。EV充電器だけでなく蓄電池等の電力関係機器も再生可能エネルギーの普及とともにニーズは高まっていきますし、配当利回りも3%と高く、こちらも長期保有に適している銘柄と言えるでしょう。
株式会社ニチコン(6996)
企業概要
車や家電等で使われるコンデンサーを製販しています。コンデンサとは電圧の調整を行う機器ですが、ダイヘンは電力ネットワークに用いる大規模設備である一方、ニチコンは車載用コンデンサー等の比較的小規模設備を開発しています。EV含めた次世代車向け事業を育成しており、家庭用蓄電システムも展開しています。
紹介銘柄の中では、ダイヘンと近しい業態の会社となります。
株価チャート
株価を見るとこちらは横ばいを続けており、伸びの材料に乏しい状況となっています。PERやPBRの指標を見ても、ダイヘンの方が市場にきたいされていることがわかります。ただし、EV充電器周りでは主力プレイヤーであることは変わりなくウォッチしていくべき銘柄と言えます。
まとめ
EV充電関連銘柄をご紹介していきました。変化の激しい時代となり、様々な年代の方が時代の変化に対応するよう新たにスキルを学び直すトレンドは今後も続いていくのは間違いありません。
投資をされている多くの方は働きながらという方が多数かと思いますが、自らのスキル向上とあわせてこのような企業に投資を行うのはいかがでしょうか。