投資をしていると避けられない損失ですが、これを来年の利益と相殺できる制度はご存じでしたか?
今回は繰越控除制度についてわかりやすく解説します!
- 株の損失を翌年の利益から通算できる制度。
- 翌年の利益分の税金を控除できるのでお得。
- 毎年の確定申告が必要なのは要注意。
繰越控除制度の概要と使い方
繰越控除制度とは?
繰越控除制度とは、上場株式等の譲渡損のうち、その年の譲渡益から控除しきれなかった損失金額を、毎年確定申告を行うことによって、最大3年間にわたり繰り越すことができ、繰り越した年の株式等の譲渡益等を控除することができる制度です。
どういう時に使えるの?
具体的な数字で解説します。SMBC日興証券のHPから表を引用します。
たとえば、2022年にマイナス700万円の損失を出したとしましょう。一方でその翌年の2023年に200万円の利益を出しました。通常は利益が出ると20%となる税金40万円を払う必要がありますが、前年に700万円の損失を出していますから、そこから200万円を差し引くため、納税が不要となります。
さらに翌年の2024年に200万円の利益を出したとしても、繰越した損失はマイナス500万円が残っていますから、それを充てることで2024年の納税額もゼロとなります。
譲渡損失と配当所得との損益通算および繰越控除制度│株式の税制│SMBC日興証券 (smbcnikko.co.jp)
繰越控除を使う際の注意点
損失を出したとしても確定申告をしていることで、節税できることがわかりました。
必ず確定申告が必要
ただし、繰越控除の適用を受けるためには、取引がない年があっても、その損失を繰り越す期間も確定申告をする必要があることはしっかり覚えておいてください。
また源泉徴収ありの特定口座を利用している方も忘れずに確定申告しましょう。
NISA口座では利用できない
また、NISAやジュニアNISAの口座内で生じた譲渡損失も、繰越控除の対象にはなりません。
NISA口座は利益に対しての課税が免除される素晴らしい制度である一方で、損失の繰り越しができないという欠点もあるので注意してください。
2024年からは新NISAが始まりますが、詳細は以下のページをご覧ください。
非上場株式の損失は対象外
また、非上場株式の譲渡により発生した損失は、繰越控除の対象とはならないことも注意が必要です。
一方で、創業まもない非上場株式への投資は、エンジェル投資と呼ばれますが、エンジェル税制といった所得税が免除される優遇制度が使えますので、興味がある方は以下の記事をご覧になってください。
まとめ
今回は、過去の損失を利用して節税が可能となる繰越控除について解説しました。殆どの方は毎年の確定申告を嫌って特定口座(源泉徴収あり)にしているかと思いますが、大きな損失が出てしまった場合はあえて確定申告を行い、来年度の利益と損益通算することが効果的です。
利用できる仕組みはしっかり使って節税を行い利益を最大化していきましょう。