今回は三井グループであり大手非鉄金属メーカーである三井金属鉱業株式会社(5706)の企業分析を簡単に行っていきたいと思います。
三井金属鉱業株式会社(5706)の事業全体像
三井金属鉱業社は明治7年(1874年)から鉱山経営をスタートさせたところから始まります。約140年という歴史ある企業です。主な事業としては非鉄金属メーカーとして金属製錬、電子材料製造、自動車部品製造をしています。それぞれの金属・材料・部品で世界シェアを占有しています。拠点は日本国内よりも海外拠点の方が多い状況です。
機能材料事業
機能材料事業では、 「粉体制御技術」を活かし、各種金属の高機能粉末を提供している機能性粉体事業部や排ガス触媒を提供する触媒事業部、 ICチップに必要な細かな配線を施した電子回路基板にのっているプリント配線板材料である電解銅箔を提供する銅箔事業部などがあります。銅箔は世界首位級です。 銅箔は薄い銅の板のことで薄く作り技術を得意としています。
新商品として今注目されている全固体電池向けの固体電解質なども量産しています。 全固体電池は電気自動車(EV)の走行距離や安全性の向上になると期待値が高い分野です。三井金属鉱業の部品はすべて全固体電池向けとなっていることから注目度が高いです。
また銅箔は5G関連製品として拡販しています。今後5Gにより高速通信化が進み5GやIoT製品の製品需要が拡大するでしょう。その際に高周波製品向けに極薄銅箔が必要になってきます。
金属事業
金属事業では、 産業の基盤となる素材である亜鉛や鉛をはじめとする非鉄金属を提供している亜鉛・鉛事業部や銅・貴金属を提供する銅・貴金属事業部などがあります。また鉱山経営から培ってきたノウハウを元に資源エネルギーの開発にも積極的に開発しています。
自動車部品事業
自動車部品事業では、主に自動車のドアやトランクに取り付けられるロック機構(ドアラッチ)を提供しています。
業績について
今回は三井金属鉱業社の2021年3月期第2四半期決算から見ていきます。
売り上げは前年と大きく変わりませんが、営業利益が約2倍程度に伸ばしています。5G関連でスマホ向け製品が好調のようです。
セグメント別ですが、売り上げの約3割が機能材料、次いで金属、自動車部品という割合となっているようです。利益としては機能材料が約7割をしめており、稼ぎ柱となっているようです。
<株価>
三井金属鉱業社の株価は、コロナショッ前からやや右肩下がりとなっています。コロナショックでさら下げましたがそこから上昇傾向に。5G関連銘柄や電気自動車(EV)関連銘柄、全固体電池関連銘柄など様々な分野で期待されていることから買いが徐々に入ってきています。
3C分析
今回は三井金属鉱業社を3C分析で見ていきたいと思います。
Customer(市場・顧客)
あまり機能性素材の世界市場規模は約1,500億ドルあると言われていて今後も5%前後の高い潜在的成長率が見込まれているのでまだまだ成長する市場であると考えられます。それだけではなく、矢野経済研究所のレポートに2030年の次世代高機能材料世界市場規模は32兆1794億円を予測されています。三井金属鉱業社が取り組んでいる事業の市場規模はまだまだ伸びるでしょう。
Competitor(競合)
競合としては東邦亜鉛・DOWAホールディングス・株式会社フジクラ・三菱マテリアル・住友金属鉱山などになります。住友金属鉱山や三菱マテリアルと比較すると売上は半分程度になるので大きく差が開いています。
Company(自社)
三井金属鉱業社は、機能材料事業である銅箔・触媒の製品開発技術を得意として差別化をしています。 また触媒部分で2輪むけが強く世界のシェアを占有しています。
まとめ
なかなかイメージが付きにくい事業ですが、5GやIoT、電気自動車(EV)などで注目されている分野に欠かせない部品・材料を提供しています。銅製錬や製品販売に集中し業績安定化図るようなので今後に注目していきたいです。