企業概要
同社は、2003年7月に創業し、2014年の9月にマザーズへ上場しました。主力事業はネット広告の効果測定サービスとなります。創業時は、ロックオンという社名でしたが2019年に社名変更をしています。
社名変更の理由は、商標の問題があったようです。
社長は、創業者の岩田 進氏で、株主としても44.3%を保有している大株主です。
事業概要
事業は大きく分けると、マーケティングプラットフォーム事業と商流プラットフォーム事業の2つとなります。それぞれ見てみましょう。2021年9月期の決算資料をもとにします。
マーケティングプラットフォーム事業
このセグメントでは、広告効果測定、広告代理店DX、そのほか新サービスなどを展開しています。
この中で最も有名かつ売り上げが大きいのは、広告効果測定サービスの「AD EBiS(アドエビス)」でしょう。このサービスは、WEBマーケティングにおけるデータ管理から分析、ユーザーの行動や傾向などを把握することができるサービスです。
マーケティングをする場合、一体どういう観点からデータを見て行動に移すべきかわからなくなりがちですが、このツールを用いることによって効果的な施策を打つことができます。
このアービスは、広告効果測定市場で売り上げシェアNo. 1を獲得しており、同社の主力事業です。このセグメントにおいてAD EBiSは、なんと売上の89%を占めています。
また、広告代理店DXでは、アドレポとアドナレッジの2サービスを展開しています。アドレポでは、様々な広告配信サービスから自動でデータを取り込み、それらをエクセスやレポートという形で出力するサービスです。また、クライアントごとの細かいニーズに応えた編集機能もあり、多くの広告代理店に導入されています。
商流プラットフォーム事業
商流プラットフォーム事業の81%は決済手数料売上が占めています。これは「EC-CUBE」というのは、ECサイト構築システムのことで、これを使うことにより簡単にECサイトが作れてしまいます。 基本的な機能は無料なのですが、関連サービスは有料だったりするので、それらをユーザーが購入したときの決済手数料が、売上になります。
売上規模を見てみると、
業績状況
売上規模を見てみると、2021年の売上高は25.9億円、セグメント利益は2.4億円となっています。
四半期ごとの売上推移も見てみると、順調な右肩上がりであることがわかります。2つの事業セグメントではありますが、その売上の殆どがマーケティングプラットフォーム事業となっています。
財務状況
財務については、GMOクリック証券の分析機能を使って見てみましょう。
貸借対照表
バランスシートを見ると、自己資本比率も2021時点で53.6%と高く、現金も住宅に保有していますね。文句なしの財務基盤と言えるでしょう。
無形固定資産の割合が多いですが、これはソフトウェア開発によるものでしょう。
損益計算書
損益計算書を見ると、売上高は綺麗な右肩上がりですが営業利益と純利益は2019年までばらつきが見られます。とはいえ、2020年以降は高い利益率が出ており順調に見えますね。
キャッシュフロー計算書
キャッシュフローの流れを見ると、一貫して投資キャッシュフローが大きくマイナスになっています。これはソフトウェア開発によるものと考えられます。
イルグルム社はソフトウェアを企業に提供するビジネスを展開していますが、ソフトウェア開発のために投資し続けていることがわかります。
2019年まではフリーキャッシュフローがマイナスとなってマスが2020年ではトントン、2021年にようやく十分なフリーキャッシュフローが出始めていますね。
市況
株価
株価を見ると、この一年右肩下がりとなっています。11/8の好決算を受けてストップ高になっています。今後の株価上昇に期待ですね。
重要指標
時価総額は、91億円と小ぶりの企業です。また、株価収益率は37.9倍とそこそこ高い数値ですが高い成長率を加味すると妥当な値と思われます。PBRも5.6と高めですがソフトウェア企業であれば平均的な数値と言えます。
ROEは15.7%と、優れた利益率を誇っています。ROEについては以下の記事で詳述しています。
まとめ
今回は、ネット広告の効果測定大手であるイルグルム社を分析しました。ネット広告の効果測定というニッチな市場ではあるものの、その市場でNo. 1をとっていること、ニッチとは言えどもまだまだ伸びる市場であることから、投資するにはおすすめの企業であると考えます。
同社は、中期経営方針「VISION2023」を策定していますが、2023年には50億円を目指しています。
電通等が調査したインターネット広告の市場規模は、2020年時点で1.7兆円であり、いまだに成長している市場です。イルグルムの売上高は実績ベースではまだ29億円程度であるため、まだまだ成長余力があると思われます。
小さい規模の企業ではありますが、まだまだ成長フェーズの企業なので長い視点で投資できる人にはおすすめの銘柄と言えますね。